研究概要 |
Solitgn理論との関係で注目されているrandom permutation, random word等の問題については,行列積分との関連についてOkounkov等の仕事があり,また直線(ZまたはN)上のvicious (non intersecting) random walkとの関係についてForrester等により研究されている.われわれはMark Adler, P. van Moerbekeと共同で,よりsoliton理論の視点に近いアプロチを求めて研究し,またより広いクラスの組み合わせ論的問題の,soliton理論との関係を明らかにすることを試みた.特にvicious random walkと行列積分の関連を考察するため,直線上のいくつかのvicious random walkに対して,組み合わせ論的考察を行い,Forrester等の結果と一部重複する結果を得た.またshifted Schur measureに関するTracy-Widomのstrict partitionsに対するCauchy-Binet型公式の左辺に現れる量が,A. OrlovによるBKP方程式系の超幾何型の有理解の特別の場合として表されることに注目した.ここでTracy-Widomの注目する極限定理を得るためには,分割に現れる数【less than or equal】hとして,hを離散変数とする何らかの可積分格子と関連づけることが望まれる.BKP方程式系を自然に含む格子が存在しないこともあって,この点についてはまだ分かっていないが,有理解であることから代数幾何的なアプローチも視野にいれて研究の方向を探っている段階である.基本的な道具としてRobinson-Shenstead-Knuth対応とその一般化を用いているが,Stanley等によるCauchyの公式の一般化や母関数のより巧妙な利用などの組み合わせ論的手法を取り入れ,概念的な流れをより明らかにすることを目指した.
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