研究概要 |
不確定特異点をもつGKZ方程式系(以下A-超幾何系とよぶ)の局所的な解の構成問題(解の漸近展開の問題)は,指数関数のパラメータ付き多重定積分の漸近展開の問題と同値である.ただしA-超幾何系に対応する積分にはパラメータが十分多くはいっており,解析がやりやすい.しかしながら,確定特異点型の場合とことなり,解析的困難が多数発生する.本年度は解析的部分まで到達していないが,代数的部分についてはいろいろな成果を得ることができた. 本年度の成果は以下のとおり. 1.不確定特異点を持つA-超幾何系に関して一番基本的な局所問題"Slopeの決定問題"に対して新しいアルゴリズムを与え,この応用として,モノミアルカーブに付随する場合には実際に値を決定した. 2.D-加群のfiltrationに適合した自由分解を構成するアルゴリズムを開発し実装した.自由分解は高次解をきめるための基本的な情報なので,今後A-超幾何系の高次解を決定するための重要なステップとなる. 3.積分核が超幾何関数であるような積分に対するホモロジ,コホモロジ理論を展開し,一般超幾何関数_pF_<p-1>の2次関係式を導出した.この方法を不確定特異点をもつA-超幾何系へ適用するのは将来の課題 4.超幾何関数を扱うためのRisa/Asirライブラリの開発をすすめた. 5.超幾何関数の公式集をweb上で公開するための基本技術OpenXM RFC 100を設計,実装した.
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