研究概要 |
C^n内の擬凸領域Dの部分多様体V上の正則関数の接続問題について積分公式を用いて研究することが本研究の目的であった。G. Schmalz(Math, Z. 202(1989),409-430)が滑らかでない境界をもつ有界q-凸領域上の∂^^-問題の解のヘルダー評価の証明に用いた体積形式の評価式と,Henkin-Leiterer(Theory of functions on complex manifolds(1984))がV上の有界正則関数をD上の有界正則関数に拡張するために用いた積分公式を利用して,Dが滑らかでない境界をもつ有界強擬凸領域の場合に,V上のL^p(p【greater than or equal】1)正則関数はD上のL^p正則関数に拡張可能であることを示した。また,Henkin核に重みをつけたBerndtsson-Anderssonの積分公式を用いて,Bruna-Burgues(Duke Math, 55(1987),539-596)とL.Ma(Manuscripta Math.74(1992), 177-193)はそれぞれ滑らかでない境界をもつ有界強擬凸領域と有界q-凸領域において∂^^-問題の解のL^p評価を行ったが,これらの結果はV上のヘルダー連続な正則関数の拡張に応用できるのではないかと考え,現在研究中である。また、実および複素楕円体上の∂^^-問題についての積分公式を用いた研究についてはすでに多くの研究結果があるが、すべてを網羅した論文は見あたらないので,一般の(0,q)形式に対する∂^^-問題の最適L^p評価の形式でまとめた。これらの結果は2001年8月にベルリン自由大学で開催された第3回ISAAC国際会議において発表した。発表内容はProceedingsにまとめられて出版される予定である。
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