走化性を伴う生物モデルの無限時刻爆発解と爆発点の挙動に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13640181
• 研究機関: 宮崎大学
• 研究代表者: 仙葉 隆 宮崎大学, 工学部, 教授 (30196985)
• 研究分担者: 川野 日郎 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (20040983) ; 壁谷 喜継 宮崎大学, 工学部, 助教授 (70252757) ; 辻川 亨 宮崎大学, 工学部, 教授 (10258288)
• キーワード: 偏微分方程式 / 生物モデル / Keller-Segel系 / 解の爆発 / 走化性

研究概要

本研究の研究目的は、K-S系並びにNagai系(以後、N系と呼ぶ)の無限時刻爆発解について調べることであった。
本研究の平成13年度から平成14年度まで得られた新しい知見は以下の通りである。
球対称なN系の無限時刻爆発解について、系の挙動と密接に関係のある数種の積分量の挙動が無限時刻で爆発すること、解自身が領域の中心でのみ爆発すること、そして系の係数から定まる一定の値(以後、閾値と呼ぶ)と同じL1量が中心に集まることがわかった。この結果をまとめて雑誌論文に投稿し、掲載された。また、球対称性を仮定しない場合についても同様の結果を得た。このとき有限個の爆発点が現れるが、領域の内部の爆発点には閾値と同じLl量が集中し、境界上にある爆発点にはその半分のL1量が集中することがわかった。この結果は解の持つ弱いコンパクト性と言う今まで定式化されていなかった性質の定式化を行い、さらに空間局所的なリアレンジメントと言う新しい手法を開発し、それをN系に応用することにより得られた。この結果をまとめて雑誌論文に投稿し、掲載された。
さらに、上記の研究で新しく得られた解の性質と解析の手法が、Jager-Luckhaus系と呼ばれるK-S系と関係が深い系の球対称な有限時刻爆発解の挙動の解析にも応用できることがわかった。この研究により、リスケーリングされた解も爆発しているような有限時刻爆発解の爆発点に対して、上記N系の無限時刻爆発解と同様のL1量の集中が起こることがわかった。この結果を学会において口頭発表し、さらに雑誌論文に投稿中である。

研究成果

• [文献書誌] Takasi Senba: "Time global solutions to a parabolic-elliptic system modelling chemotaxis"Asymptotic Analysis. 32. 63-89 (2002)
• [文献書誌] Takasi Senba: "Behavior of solutions to a system related to chemotaxis"Nonlinear Analysis. 47. 2551-2562 (2001)
• [文献書誌] Takasi Senba: "Parabolic system of chemotaxis : Blowup in a finite and the infinite time"Methods and Applications of Analysis. 8・2. 349-368 (2001)
• [文献書誌] Koichi Osaki: "Exponential attractor for a chemotaxis-growth system of equations"Nonlinear Analysis. 51. 119-144 (2002)
• [文献書誌] Tohru Tsujikawa: "Exponential attractor for an adsorbate-induced phase transitions model"Kyushu Journal of Mathematics. 56・2. 313-336 (2002)
• [文献書誌] Yoshitsugu Kabeya: "Behavior of least-energy solutions to Matukuma type equations"Journal of the Mathematical Society of Japan. 54・4. 937-973 (2002)
• [文献書誌] Yoshitsugu Kabeya: "Blowup rate of solutions to the Brezis-Nirenberg equations with the Robin condition"Funkcialaj Ekvacioj. 45・2. 291-318 (2002)
• [文献書誌] Yoshitsugu Kabeya: "Canonical forms and structure theorems for radial solutions to semi-linear elliptic problems"Communications on Pure and Applied Analysis. 1・1. 85-102 (2002)