研究課題/領域番号 |
13640187
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
保城 寿彦 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40211544)
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研究分担者 |
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60196756)
楳田 登美男 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20160319)
岩崎 千里 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30028261)
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キーワード | 偏微分方程式 / スペクトル理論 / 調和解析学 / 平滑化作用(smoothing effect) / 極限吸収の原理 / 制限定理 |
研究概要 |
本課題では分散型方程式の初期値問題における平滑化作用(smoothing effect)及び関連する諸問題について研究する。実関数論的なアプローチだけでなく、数理物理学的なアプローチ(スペクトル理論における極限吸収の原理等)などの周辺分野との関連を重視している。また平滑化作用の必要条件や十分条件を純粋数学的な立場から取り組むことが本課題の特徴である。すなわち例えて言えば、初期値問題の適切性の研究はHadamardの仕事に始まっているが、1960年代からの超局所解析の発展に伴ってLax-Mizohataの定理や条件等のよりsophisticateされた研究が行われたが、本課題はこの様な研究と類似した研究をこれから始めようとするものである。今年は本課題研究の最終年で次の研究につながる新たなアプローチも出てきた(杉本氏とRuzhansky氏の研究)。今後ともこの分野の発展につくしてゆきたいと思っている。具体的には以下の様な結果が本年度で得られ、研究発表の欄にある論文で発表または発表予定になった。 (1)平滑化作用がおこるための必要条件を与えることに成功した。いままで十分条件として作用素の表象に仮定していた条件が最大の次数の平滑化がおこるためには必要であったことを示した。 (2)一般の定数係数の作用素の分散型初期値問題で表象の値が変わらない方向への平滑化についての結果が得られた。 (3)平滑化作用の研究にFourier積分作用素の重み付き2乗可積分な関数の空間での有界性を利用するアプローチを導入した。これは超局所解析学でおこなわれたように一般の作用素をプロトタイプのものに帰着させることへの端緒となるものである。 (4)Shannonのウェーブレットのような局所性の悪いウェーブレット(unimodular waveletと呼ばれるもの)による展開でも性質の良いウェーブレットのときと同様にp乗可積分な関数の空間での無条件収束性、つまり和の順序を入れ替えても和の値が変わらないことの証明に成功した。
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