研究分担者 |
宮地 晶彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60107696)
小林 一章 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50031323)
近藤 武 東京女子大学, 文理学部, 教授 (20012338)
山島 成穂 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (80086347)
篠原 昌彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (70086346)
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研究概要 |
D加群とは微分作用素環上の加群の総称であり,具体的には線型偏微分方程式系に対応する.D加群については1970年代からの佐藤幹夫・柏原正樹・河合隆裕らの研究によって高度な理論体系が構築されていたが,当時はD加群の具体的な計算方法についてのまとまった研究は、概均質ベクトル空間に付随したD加群の場合などを除いて、ほとんどなされていなかったものと思われる。一方1990年代以降、高山信毅氏と本研究代表者は,多項式環についてはその有用性が既に広く認知されているGrobner基底の方法を微分作用素環に適用することによって,アフィン空間上のD加群に対する種々の演算(関手)のアルゴリズムが得られることを見出した。特にb関数およびその一般化の計算アルゴリズム、アフィン部分空間への制限の計算アルゴリズムの拡張と効率化を目標に研究を進め、次のような研究成果を得た。 1.D加群の制限の計算で中心的な役割を果たすのは,与えられた重みベクトル(の定めるフィルター)に適合した自由分解の計算であるが,実例の計算における自由分解は一般に非常に大きく,しばしばメモリ不足で計算不能に陥る。斉次化Weyl代数(微分作用素環)は非可換ではあるが、多項式環と同様に極小自由分解の概念が定義できることに着目し,特に与えられた重みベクトルに適合した極小自由分解の概念を定義し,かつその計算アルゴリズムを得た.特にこの応用として、微分作用素環のイデアルの極小な包合基底を求めるために有効な方法を得た。 2.理論上重要な解析的なD加群、すなわち収束巾級数を係数とする微分作用素環上の有限生成加群に対しても、斉次化を経由してある種の極小自由分解の概念が定義されることを見出した。
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