研究課題/領域番号 |
13640192
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
大阿久 俊則 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60152039)
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研究分担者 |
宮地 晶彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60107696)
小林 一章 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50031323)
近藤 武 東京女子大学, 文理学部, 教授 (20012338)
山島 成穂 東京女子大学, 文理学部, 助教授 (80086347)
篠原 昌彦 東京女子大学, 文理学部, 教授 (70086346)
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キーワード | D加群 / アルゴリズム / 線形微分方程式 / 数式処理 / 自由分解 / グレブナー基底 / 微分作用素 |
研究概要 |
昨年度までの研究で代数的(大域的)なD加群の極小自由分解の概念を定義し、その計算アルゴリズムを高山信毅氏と共に開発した。本年度は海外共同研究者であるアンジェ大学(フランス)のグランジェ(Granger)教授と共に、解析的なD加群に対する極小自由分解の理論とアルゴリズムを構築した。理論的な結果としては、このような極小自由分解の(複体としての同型を除いた)一意存在定理を得た。従って極小自由分解はD加群に対する解析的かつ局所的な不変量を与えることになり、特異点論などへの応用が期待される。一方で、可換代数におけるMoraのtangent cone algorithmと呼ばれる代数的な割算アルゴリズムの微分作用素環におけるアナロジーを見出し、それを用いて極小自由分解が計算可能であることを示した。更に、超曲面の特異点に付随したD加群の解析的な極小自由分解をいくつかの実例について実際に計算し、興味ある結果を見出したが、特異点理論と極小自由分解の関係についての理論的な考察は今後の重要な課題であろう。なお、この共同研究のために本補助金の海外旅費を用いて、グランジェ教授を東京女子大学に招聘し、以上の成果を共著論文としてまとめた。 また、D加群のアルゴリズムの応用として、ホロノミック関数の積分やメリン変換などの計算法を提案し、白木氏、高山氏との共著論文としてまとめた。この方法は微分方程式の数値解法に対しても新たな方法を与えるものであり、数式計算と数値計算の新しい融合算法としても有望であると思われる。
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