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2001 年度 実績報告書

量子干渉性の解析的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13640193
研究機関東京理科大学

研究代表者

大矢 雅則  東京理科大学, 理工学部, 教授 (90112896)

研究分担者 井上 啓  東京理科大学, 理工学部, 助手 (70307700)
渡邉 昇  東京理科大学, 理工学部, 講師 (70191781)
明石 重男  新潟大学, 理学部, 教授 (30202518)
宮寺 隆之  東京理科大学, 理工学部, 助手 (50339123)
キーワード量子エンタングル状態 / 量子テレポーテーション / 量子チャネル / 量子カオス
研究概要

函数解析学や非可換解析などと深く関わる量子情報理論におけるいくつかの重要な問題は状態の干渉性に深く関連しており,このような干渉性をもつ量子状態を調べることは非可換解析の数学にとってもその物理的応用に対しても非常に大切な課題なっている.本研究では,このような干渉性をもつ状態の性質を実解析学,函数解析学,非可換確率論,作用素代数などの解析学の手法を主に用いて詳しく調べることを目的とし、平成13年は以下のような成果を得た。
(1)1993年,Bennettたちは,EPR(Einstein-Podolsky-Rosen)状態というエンタングルド状態で2つの系の間の相関を記述し,量子テレポーテーションを可能にするシステムを示した.しかし,このEPR状態の干渉性を長い間保つことは難しい.そこで,本研究代表者とドイツのFichtnerは,コヒーレント状態という実際に使われている状態をベースとして,量子状態のテレポーテーションを可能にする方法を考案した.この方法はテレポーテーションの工学的な実現に役立つものと考えられる.また,この研究をベースとして,量子テレポーテーションの一つの核である量子エンタングルド状態の取り入れ方を再考することによって,量子テレポーテーションの実現に向けての基礎理論を構築した.
(2)研究代表者等のグループが行ってきた量子情報通信理論の研究をベースとして,実函数論,函数解析学などの解析的手法や更に情報理論や物理学における諸概念を取り入れて,量子情報通信理論に関わる問題の中で,(1)新たな光状態として注目されているスクイズド状態をスクイズド状態に移す量子チャネル(スクイズドチャネル)とはどのようなものであるかを解明し,量子チャネルの厳密な分類を行った.
(3)量子カオスに研究の一つとして、古典カオスを量子系に拡張したときに、どの程度の時刻まで、量子-古典対応が存在するかといったことが研究されている。多くの数値計算から、プランク定数をhとしたとき、T=Clogl/h(対数時間)(Cは比例定数)になるまでの間、この性質が維持されるといった結果が報告されている。我々は、数値的にしか導けなかったこの関係を、量子パイこね変換という量子カオスのモデルを用いて、解析的に導出した。また、情報力学の複雑さを用いて定義されるカオス尺度というカオスを測る指標を用いて、量子-古典対応が上記と同様に時刻Tで崩れることを示した.

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] V.P.Belavkin, M.Ohya: "Quantum entropy and information in discreate entangled states"Infinite Dimensional Analysis,Quantum Probability and Related Topics. 4. 137-160 (2001)

  • [文献書誌] V.P.Belaukin, M.Ohya: "Quantum entanglenet and entangled mutual entropy"to appear in Royal Society of London. (2002)

  • [文献書誌] K.H.Fichtner, M.Ohya: "Quantum teleportation with entangled states given by beam splittings"Communication Math.Phys.. 222. 229-247 (2001)

  • [文献書誌] K.H.Fichtner, M.Ohya: "Quantum teleportation and beam splitting"Communication Math.Phys.. 225. 67-89 (2002)

  • [文献書誌] S.Iriyama, N.Watanabe: "On classification of quantum channels"Oper Systeme and Information Dynamics. 8. 73-88 (2001)

  • [文献書誌] M.Ohya, I.V.Volovich, N.Watanabe: "Quantum logical gate based on electroroi spin resonance"Quantum Probability. 3. 143-156 (2001)

  • [文献書誌] K.Inoue, M.Ohya, I.V.Volovich: "Semiclassical properties and chaos degree for the quantum baker's map"J.Math.Phys.. 43. 734-755 (2002)

  • [文献書誌] K.Inoue, M.Ohya, I.V.Volovich: "A treatment of quantum Baker's map by chaos degree"Quantum Information. 4. (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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