飛躍のある確率微分方程式の解の分布密度関数の存在と滑らかさについて研究した。研究対象とした方程式は、ウイナー過程とポアソン過程を共に含む一般のレビー過程によって駆動される方程式であった。まず抽象ウイナー空間とポアソン空間の直積空間の上でマリアヴァン解析を展開し、直積空間上に与えられた確率ベクトルの分布が滑らかな密度関数を持つための判定条件を求めた。つぎにその結果を確率微分方程式に応用し、レビー過程及び方程式の係数が共に退化していなければ解の分布はなめらかな密度関数を持つことを示した。 類似の問題はこれまでフランスの数学者達によって研究されているが、飛躍がある場合には確率微分方程式の解は必ずしも微分同型の流れを定義しないために、係数に複雑な仮定をおかねばならなかった。本研究者は標準型(canonical)方程式を取り上げたために、解は常に微分同型の流れを定義することを示すことができ、そのためにマリアヴァン解析の成果を有効に応用することができた。
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