研究概要 |
2次Lameポテンシャルが、ある種の退化条件を満たす場合に、重複Darboux変換により楕円曲線上の微分方程式である2次Darboux-Lame方程式を構成し、それがモノドロミー同型族であることは、前年度までの研究で明らかにされていた。今年度は、そのモノドロミー群を具体的に計算し,それらの結果を併せて7月ギリシャで開催された微分方程式と数理物理学に関する国際会議で発表した。また、2次Darboux-Lameポテンシャルのスペクトル保存性を詳しく調べ、その結果も併せて、8月北京で開催された国際数学者会議ICM2002で講演した。また、それらの結果の一部は論文にまとめて国際雑誌に投稿し掲載が受理された。また、スペクトル変数はある超楕円曲線上の点と考えられるが、そのファイバーが楕円曲線であるファイバーリングの特性を調べる為の準備的考察として、一般の位相多様体のファイバーリング条件を調べた結果を論文にまとめ国際雑誌に投稿し掲載が受理された。他方、2次Darboux-Lameポテンシャルはある種のKdV型方程式を満たすことは以前に証明していたが、その方程式の時間微分の項は時間変数だけの関数が係数になっているが、それを変数変換で消去する為にその関数の具体的な形を求め、標準的なKdV方程式の解に変換することに成功した。さらに、その結果を利用して楕円ソリトンのコンピュータグラフィックを描き、ソリトンの非線形相互作用の様子を視覚的に表現すると共に、その特異点の位置を具体的に計算する手法もあわせ確立した。これはKdV方程式等の非線形発展方程式の特異性を有する解の極の運動を記述するCalogero-Moser-Sutherland系の厳密解法になっているが、それらの結果は、4月上旬アメリカで開催される国際会議、および7月オーストラリアで開催される国際会議で発表する予定である。
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