研究代表者関係から記すと、平成13年9月、Grado (Italia)で行われた研究集会Linear and Nonlinear Hyperbolic Equationsにおいて、Mathematical theory of nonlinear isotropic elastic waves のタイトルで研究発表を行った。この発表内容と今後の課題を、連続体力学の質量、運動量保存則から説き起こしてまとめた報告書Mathematical theory of elasticityを平成15年作成した。これは、今後、非線形弾性波動方程式系を研究しようとする人たちへの入門書の役割を果たすものと思われる。平成14年に発表された論文Weighted uniform decay estimates for solutions to isotropic elastic wave equations (Adv.Math.Sci.Appl.)は、平成12年に発表された論文Global existence of nonlinear elastic wavesの結果を保証する、線形等方的弾性波動方程式系の解に対する重み付き一様評価を与えている。研究分担者関係は、平成15年3月、Brown大学(USA)においてStrauss教授と、ハートリータイプと呼ばれる立法合成積を非線形項として持つ波動方程式の初期値問題について、研究打ち合わせ、意見交換を行った。この話題は、現在、論文Global existence and blow up for a wave equation with a potential and a cubic convolutionに発展し、雑誌Nonlinear Analysisに受理され印刷中である。以上の研究成果は、非線形弾性波動方程式系を含む広い意味の波動方程式系の今後の研究に寄与すると思われる。
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