研究概要 |
Modular invariantを用いてRehrenが2000年に導入した一般Longo-Rehren subfactorについて,1次元円周上の共形場理論から生じるmodular tensor categoryとその延長システムにα-inductionを適用して作った場合には,この構成が通常のLongo-Rehren subfactorの双対になっていること、またこの構成が,円周を4つの区間に分割して作られるsubfactorの「相対版」に一致していることを示した.これは,前に私が,Longo-Muegerと行っていた研究の相対版と考えられる.(一般Longo-Rehren subfactorの構成はこのケースが最も重要であり,これ以外には本質的に興味深いケースは知られていない.) 次に,1次元円周上の共形場理論を作用素環的に考えたものについて,「運動群」が微分同相写像群である場合は、"central charge"が一般に定義できること,それが1未満の場合については,Dynkin図形の対を不変量とする完全分類ができることを,Longoと共に示した.場の量子論への作用素環的アプローチにおいてこの種の分類が重要な問題であることは明らかであるが,この結果が一般的分類に関する最初の結果である.この結果には,α-inductionを用いたmodular invariantの作用素環的研究をフルに用いる.特に,この分類問題は直接的にはsubfactor理論の問題ではないにもかかわらず,subfactor理論の手法とアイディアが大きな役割を果たしている.これは、SU(2)、SU(3)の有限部分群の作用素環的研究の類似をVirasoro代数の表現のなすカテゴリーで考えることになっている.Central chargeが1未満という状況とsubfactorのJones indexが4未満と言う状況が形式的に類似していると言うことはかなり前からJonesらによって指摘されていたが,今回の結果はその類似性の実態を明らかにしたものと言える.
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