研究分担者 |
塩路 直樹 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (50215943)
今野 紀雄 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80205575)
平野 維倫 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (80134815)
森本 浩子 明治大学, 理工学部, 教授 (50061974)
谷 温之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90118969)
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研究概要 |
Newton方程式の半微視的極限の研究:多粒子系の基礎運動方程式であるNewton方程式系で、粒子数と粒子サイズをスケールパラメータとしたBoltzmann-Grad極限の存在を証明するための新しい手法を開発した.偏微分方程式論の最も基本的な定理であるCauchy-Kovalevskaya定理を一般化した手法で、無限元連立微分方程式系の解の評価が簡潔に得られることとなり,粒子数無限大でのNewton方程式系の極限の存在が示せる.さらに,同じ手法をBoltzmann Hierachyに用いてEuler極限の存在証明にも応用できることを示した.これは半微視的運動方程式と巨視的流体方程式との直接的な漸近関係についての初めての結果である.同じ手法がBBGKY HierachyのEuler極限に適用できれば,Newton方程式と巨視的方程式の直接の漸近関係が証明できるので、現在研究を続けている.Japan J. Industrial Appl. Math.に掲載 Boltzmann方程式の境界層解についての研究:境界層理論の最も基本となる半無限空間における定常問題の可解性条件を明らかにした.これまでに線形化問題、離散速度モデル、数値計算などでの結果は知られていたが、非線形問題では初めての結果である.境界ではDirichlet境界条件を与え、無限遠方で平衡状態を表すMaxwell(Gauss)分布に近づく解を求める.これは過剰決定系であり、Dirichlet境界データについての可解性条件が必要となる.Dirichlet境界データはすべて無限遠のMaxwell分布に近いものだけを考える.可解性条件の個数nは無限遠で指定した平衡状態にたいするMach数Mに依存する.M<-1ならばn=0,-1<M<0ではn=1, 0<M<ではn=3, M>1ではn=5であり,これら可解性条件を満たすDirichletデータの全体は余次元nの滑らかな局所多様体をなすことを証明した.海外共同研究者Shi-Hsien YuとTong Yan(香港市立大学)との共同研究である.「HYP2002, The Ninth International Conference on Hyperbolic Problems ; Theory, Numerics and Applications」(カリフォルニアエ科大学、2002年3月)にて総合講演.
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