AFD因子環上の離散従順群の作用の分類は1990年代半ばに完成された。これに対し核型C^*環上の群作用の研究は未だ多くの未解決問題を残している。これは単にC^*環の分類理論がAFD因子環の分類から約20年の遅れを取ったためだけではなく、C^*環上の群作用にK理論的な本質的な困難さがあるためである。しかしながら最近数年の私の研究で、有限群のロホリンの性質を持つ作用については、K群の制御が可能であることや、知られている多くの作用の双対作用がロホリンの性質を持つことが明らかになった。 有限群のロホリンの性質を持つ作用の、K群への作用をTate cohomologyを用いて完全に特徴付けた。より具体的には、このようなK群をcompletely cohomologically trivialという性質で特徴付けた。応用として、K群による分類が知られている二つの代表的な核型C^*環のクラスに対して、有限群のロホリンの性質を満たす作用はK群上の作用により完全に決定されることを示した。また有限群のcompletely cohomologically trivial moduleは常にinduced moduleの帰納的極限であることを示し、与えられた不変量に対してロホリンの性質を持つ作用のモデルを構成した。これらの結果は、ロホリンの性質を持つ作用の解析は常にモデルを用いて行うことが可能であることを示しており、将来多くの応用が期待できる。 ロホリンの性質の双対的な性質として、近似表現可能性がある。上記の結果の応用として、Cuntz環上の素数冪位数巡回群のquasi-free作用がいつ近似表現可能であるかを完全に決定した。これは直観的に予想することがほぼ不可能な結果であり、群cohomologyを使った解析の成果である。
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