研究概要 |
Bennett Palmer氏(Idaho State University, USA.海外共同研究者)との共同研究により,3次元ユークリッド空間内の非等方的平均曲率一定曲面の幾何学的性質と安定性について,以下の結果を得た.ただしここで,「非等方的平均曲率一定曲面」とは,体積一定なる条件のもとでの非等方的表面エネルギーの臨界点を与える曲面である.また,「非等方的表面エネルギー」とは,曲面の単位法ベクトルを変数とする関数の曲面上での積分であり,結晶の表面エネルギーの数学的抽象化である.したがって,非等方的平均曲率一定曲面は,平均曲率一定曲面の一般化になっている. 1.非等方的表面エネルギーの第2変分公式を導き,非等方的平均曲率一定曲面に対する安定性の概念を定式化した. 2.非等方的平均曲率一定曲面のガウス写像が(ある種の)エネルギー最小性を持つことを示した. 3.完備で安定な非等方的平均曲率一定曲面に関する一意性定理を得た. 4.非等方的平均曲率一定回転面の表現公式を求め,その幾何学的性質を解析した. 5.非等方的平均曲率一定曲面のガウス写像の除外値について研究し,ガウス曲率のL^1評価,一意性定理,安定であるための十分条件等に関する結果を得た. また,ガウス写像が調和写像であるという性質が使える場合の曲面の存在定理や変形の研究,平均曲率一定曲面の自然な一般化である「調和逆平均曲率曲面」の基本的性質の研究,複素2次元空間内のLagrangian曲面の決定及び分類に関する研究を行った.
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