研究概要 |
本年度の研究業績の概要を報告する.まず本年度の当初計画を箇条書きに挙げておく. (1)粘菌の初期濃度をパラメータとして取るとき,解とパラメータとの間の大域分枝の詳しい性質を調べ,Chirdress-Percusの予想との関係を明らかにする. (2)Keller-Segel方程式系の一般解と自己相似解の間の関係をあきらかにする. (3)粘菌の形成方程式系に類似した半導体ディバイス方程式系や大腸菌コロニーを決定する方程式系を常微分方程式に帰着しておける固有値問題とそれに関する道具を開発する. まず(1)について;初期濃度をパラメータとして取るとき,このパラメターに関して閾値があり,この閾値が8πである事が証明された.すなわち,初期濃度が8π以下のときは,大域解の一意性が言え,初期濃度が8πに近づくにつれ,解は爆発する.(2)に関しては,共同研究者である永井氏が全空間における初期値問題の大域解示し,Funkcialaj Ekvaciojに投稿して受理された.これによって,一般解と自己相似解の間の関係をあきらかにする手掛かりができた.(3)に関しては,半導体ディバイス方程式系の自己相似解の構造が分かった.また,大腸菌コロニーの成長を記述する数理モデルに対する解構造の研究をはじめた.これが,これまで考えてきた方程式系とどの様な関係があるのか調べている.自己相似解に関しては,思いのほか困難で,計算機実験の結果は,思うような結果が出てこない.そこで,半群理論を用いて,理論計算を行った.その結果時間局所解においては,解の存在を言う事ができた.現在研究中の時間大域解の存在はほ示す事が出来るので,近い将来に発表する.
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