戸田格子の有理解をパラメトライズする旗多様体の胞体(セル)の研究を行った。一般化された戸田格子(ラックス行列が下三角タイプ)の場合1番大きなセルの点が戸田格子の正則関数解をパラメトライズすることは簡単な計算でわかる。しかし一般ではない本当の、すなわち3重対角行列のラックス行列の場合それは少し込み入った議論を必要とする。それは解を求める際リーマン・ヒルベルト分解でラックス行列の3重対角性が保存されることを示さなくてはならないからである。実際このことは戸田格子と表現論の研究における指導的数学者コスタントの論文のなかでも述べられている。1番大きなセルの場合この3重対角性はたしかに保障される。しかし一般のセル上の点ではコスタントの証明はその効力を失う。今回の研究では一般のセルに関するリーマン・ヒルベルト分解でもラックス行列の3重対角性が保障されることをしめした。戸田格子をラックス行列で記述する際従来はラックス行列の成分、すなわち戸田格子を記述する場を実数ないしは複素数とみなして議論が行われてきた。これは戸田格子を等エネルギー面上の軌道とみなすことである。私は今回戸田格子を多様体上の軌道とみなさず、ラックス行列の成分より生成される可換代数の変形とみなした。こうすることにより次数付けまた次数による射影も定義できて一般のセルにおいてもリーマン・ヒルベルト分解により本当の(3重対角行列の)戸田格子のラックス行列を構成することができた。
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