研究課題/領域番号 |
13640220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
大域解析学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
桑江 一洋 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助教授 (80243814)
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研究分担者 |
大津 幸男 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (80233170)
塩谷 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90235507)
小倉 幸雄 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00037847)
町頭 義朗 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00253584)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | ディリクレ形式 / 調和写像 / 変分収束 / 漸近関係 / ガンマ収束 / Mosco収束 / CAT(0)空間 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / Alexandrov spaces / Calabi s strong maximum principle |
研究概要 |
以下の研究をおこなった。 (1)測度付き距離空間上の変分収束の研究:この研究は分担者である東北大学理学研究科教授塩谷敬と共同でおこなった。距離空間の和集合の上に漸近関係というグロモフ・ハウスドルフ位相を例として含む位相を導入してその上の汎関数の変分収束についていくかの結果を得ることに成功した。特に測度付き局所コンパクト完備可分距離空間上から点付きproper距離空間に値をとるp乗可積分写像全体の集まりが測度近似から誘導される距離近似のもとで漸近関係となることを示した。また漸近関係を与える距離空間の全体において、個々の距離空間上で定義される汎関数の全体における収束の概念としてガンマ収束を与え、同時に汎関数が漸近的にコンパクトという概念も与え、ガンマ収束かつ漸近的コンパクトであることをコンパクト収束とした。これは個々の空間が共通の場合に於けるよく知られた概念の拡長である。このとき汎関数のコンパクト収束がその各汎関数のsublevel集合がある意味でグロモフ・ハウスドルフ収束することと同値であることを示した。また上述のp乗可積分写像全体上の汎関数がエネルギー測度から決まり、sourseの極限空間の局所被覆orderがたかだか1/r^Λpでp-ポアンカレ不等式をみたせば汎関数が漸近的コンパクトであることを示した。距離空間がCAT(0)空間いわゆる単連結曲率非正の空間のときにその和空間上の漸近関係による収束を強収束として弱収束の概念を定めた。これは各CAT(0)空間が共通のヒルベルト空間のときにおける弱収束の概念を拡長したものであり、その場合におけるいくつかの性質が同様に成立することを示した。またCAT(0)空間上の汎関数の族に対してMosco-収束の概念を定め、汎関数から決まるレゾルヴェントの強収束が従うことを示した。これらは準備中の論文「Variational convergence over metric spaces」にまとめられている。 (2)半群の確率論的表示に関する研究:これはカリフォルニア大学サンディエゴ校教授P.J.Fitzsimmons氏、ワシントン大学教授Z.Q.Chen氏とマンチェスター大学講師T.S.Thang氏との共同研究である。この研究は飛躍を含まないときにFitzsimmons氏と以前に行なった研究の拡長である。その証明においてはDirichlet形式に附随する確率解析における伊藤の公式が基本的であった。そこでは2次変分0の過程に関する確率積分が自然に出現するが、飛躍を含むときにこの確率積分が従来の範中では適用範囲に制限があり無理だと思われていた。そこで中尾慎太郎氏が導入していた発散型CAFを関数解析的でなく道にそった直接的な定義を与えることにしてそれをもちいて2次変分0の過程に関する確率積分を拡長することに成功した。その結果、摂動による半群の確率論的表示を極めて一般的に得ることができた。これは準備中の論文「Perturbation for symmetric Markov processes」にまとめられている。 (3)カラビ型の強最大値原理に関する研究:カラビ型の強最大値原理がリッチ曲率が一様に下から有界で直径が一様に有界なコンパクトリーマン多様体のグロモフ・ハウスドルフ距離による極限空間上で成立することを示した。これは金沢大学理学部教授加須栄篤氏の研究成果に根ざしている。これは準備中の論文「On Calabi s strong maximum principle via local seim-Dirichlet forms」にまとめられている。
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