研究課題「場の理論の幾何学とスピノール解析」における二つの目的のうち4次元Wess-Zumino-Wittenモデルにおける作用汎関数の特徴付けと構成は主に平成13年度の研究において完成した(平成13年度実績報告)。本年度はこの成果を論文にして投稿した(Journal of Geometry and Physics掲載予定)。平成14年度はもう一つの目的であるスピノール解析の展開を行った。 C^2の領域上の調和スピノールについて、ルンゲ型の近似定理さらに有理型スピノールを与えられた主要部分から構成するMittag-Lefflerの定理の類似を証明した。またC^2の領域やS^4上の調和スピノールのコホモロジー消滅定理を得た。共形平坦4次元スピノール多様体上の有理型スピノールについてもリーマン面におけると同様なdivisor理論が展開できコンパクトな場合にRiemann-Roch型の定理が成り立つことを示した。これらの結果はマカオにおけるクリフォード解析国際会議で発表し同輯報に掲載される予定である。13年度に続いて、14年9月11日より9月13日に早稲田大学理工学部において「量子化の幾何学」の第2回研究集会が持たれた。約40人の参加者を集め量子コホモロジー、変形量子化、指数定理と熱核の漸近展開、位相量子場等について11の講演が行われた。これらの講演の記録はWEBページに掲載されている。また研究分担者の本間泰史は共形共変一階微分作用素の幾何学的研究を続けており、リーマン多様体上の共形共変一階微分作用素に対するBochner-Weizenbeck関係式はすべて普遍展開環の高次カシミール元の関係式から導かれることを示した。この結果は上記クリフォード解析国際会議で発表された。
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