研究課題/領域番号 |
13640225
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
酒井 一博 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (30205702)
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研究分担者 |
木村 寛 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70017953)
落合 昭二 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (30031545)
藤平 秀行 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (70114171)
江森 英世 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (90267526)
北川 義久 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (20144917)
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キーワード | 擬軌道尾行性 / shadowing property / Axiom A / ベクトル場 / 構造安定性 / connecting lemma / 分岐 / カオス |
研究概要 |
本年度は、擬軌道尾行性をもつ多様体上の微分可能ベクトル場を力学系理論の立場で特徴付けし、そのベクトル場が所有する微分幾何学的構造(微分力学的構造)解明を目的として研究を行ってきた。 擬軌道尾行性をもつベクトル場全体の中でのC^1位相に関する内点集合をint{\cal SP}で表せば、int{\cal SP}の要素Xに対し、その近くのベクトル場もすべて擬軌道尾行性をもつ。このような状況を「Xはopen conditionを満たす」という。このopen conditionは、位相的性質からそのベクトル場のもつ微分幾何学的構造を導くのに大変有効であることが知られている。最近解決されたベクトル場の安定性予想に関する結果を用いることにより、本研究代表者によってint{\cal SP}はAxiom Aを満たしサイクルをもたないベクトル場の集合に含まれることが解明されている。 本年度は、上記の結果とopen conditionをもう一度利用しXの安定多様体と不安定多様体の交差の仕方の解明に努力した(これら2つの多様体の交差の仕方を解明することは、力学系の大域的な構造を理解する上で不可欠であることが知られている)。しかし、残念ながら特異点の存在という大きな障害があり、その十分な解明には至らなかった。 本年度における大きな収穫の一つは、(擬軌道尾行性よりも強い)Lipschitz-擬軌道尾行性をもつ微分可能ベクトル場(のC^1位相に関する内点集合)についてはその特徴付けが完了し、安定多様体と不安定多様体の交差の仕方の解明も含め、微分幾何学的構造が完全に解明されたことである(これについては、2001年6月に北京大学(中国)で開催された力学系理論国際会議にて成果発表を行って来た)。
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