研究概要 |
クエーサ・活動銀河の中心核やわれわれの銀河系内の連星系そして最近ガンマー線バーストにおいて相対論的ジェットが観測されている。これらの相対論的ジェットはブラックホールの極近傍の激しい現象により形成されると考えられる。相対論的ジェットの形成機構を解明するためにわれわれは一般相対論的電磁流体力学計算コードを用い数値シミュレーションを行ってきた。 平成14年度に引き続き平成15年度も相対論的ジェット形成における磁場配位の重要性を調べた。今回は回転するブラックホールの周りに放射状の磁場を設定して計算を行った。一様磁場のときは磁力線に沿って電磁エネルギーの強い放射があったが,すべてのプラズマはブラックホールに向かって落下し外向きのプラズマの流れは見られなかった。今回は磁場がブラックホールの回転軸に対し斜めになっているので遠心力によりプラズマが外向きに加速される可能性がある。実際,数値計算結果によりすべての磁力線はエルゴ領域(ブラックホール近傍の光さえもブラックホールと同じ方向にしか進めない領域)を貫くので磁力線が非常に強くねじられその磁気圧力と磁気張力によりプラズマが外側に加速されることを確認した。しかも,t=11τsにそのプラズマ流のローレンツ因子は2.0に達し,相対論的な流れとなっている。しかし,t=11τsではその流れは絞られることなく広がっておりジェットにはなっていない。これは追跡時間が短く磁気張力によるプラズマの絞込みの効果がまだ現れていないためと思われる。今後,より長時間の計算により相対論的ジェットの形成の計算を実現しその機構の解明を行いたい。
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