研究概要 |
大振幅の磁気流体波が伝播する分子雲の進化を数値シミュレーションにより調べている。本年度は数値粘性による磁気流体波の減衰と、減衰率の偏光・波長依存性について国際会議(Star Formation Workshop 2002,6月,台湾とIAU8^<th> Asian-Pacific Regional Meeting,7月,東京)においてポスター発表を行った。ポスターでは、(1)1波長あたり32点の格子点があると、ようやく数値粘性による磁気流体波の減衰を十分に小さくできる、(2)フィラメント状分子雲を伝播する円偏光したアルフヴェン波は、波長によらず一定の減衰率で指数関数的に減衰する、(3)直線偏光したものは波長が短いほど速く、時間の逆自乗に比例して減衰する、などを主な成果として発表した。またこれらの研究成果については学術雑誌へ投稿する論文としてまとめている。さらに大規模な磁気流体数値シミュレーションを行うために、数値シミュレーションコードの高速化を行った。昨年までにコードの大半はスーパーコンピュータ向きに高速化されていたが、数値誤差により発生した磁気モノポールを消去する部分だけ計算速度が遅かった。今回の高速化により、512^3の格子点をもつ世界最大規模の数値シミュレーションが短時間で実行できるようになった。また関連して開発したコードを使い、連星の形成やガス降着による連星の成長についても数値シミュレーションを行い、成果をあげた。これらの成果の一部は学術雑誌に掲載された。
|