Be/X線連星系中のBe星ガス円盤と中性子星の相互作用について、半解析的な方法と数値シミュレーションを併用して研究した。数値シミュレーションは、SPH法を用いて、様々な軌道要素(周期、離心率、傾斜角)と粘性の大きさに対して行った。簡単化のために、Be星ガス円盤は等温であり、Be星からの質量放出は一定であると仮定した。この研究から以下のことがらが見いだされた。 1.Be星ガス円盤は、粘性が非常に大きいような状況を除けば、中性子星からの共鳴相互作用により、ある半径のところで打ち切られる。 2.Be星ガス円盤の共鳴による打ち切りにより、軌道離心率の小さい系や中くらいの系では、中性子星への質量降着量が大きく減少する。この場合、Be星から放出された物質は円盤内にたまり続け、孤立したBe星のまわりのガス円盤よりも密度の高い円盤を形成する。 3.軌道離心率の大きな系ほど共鳴によるガス円盤の打ち切りの程度弱く、中性子星への降着率は高くなる。 4.楕円軌道を描く中性子星により、Be星ガス円盤中にはeccentricモードが励起される。励起のタイム・スケールは軌道離心率の大きな系ほど短いが、最終的な振幅は軌道離心率にあまり依存しない。 5.Be星ガス円盤からの連続光は位相に応じた周期的な変動を示す。変動の振幅は離心率の大きな系ほど大きくなる。
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