Be/X線連星系中のBe星ガス円盤と中性子星の相互作用について、半解析的な方法と数値シミュレーションを併用して調べた。数値シミュレーションは3次元SPH法を用いた。本研究により以下のことがらが見いだされた。 1.Be星ガス円盤は、中性子星からの共鳴相互作用により、ある共鳴半径のところで打ち切られる。この効果は、離心率があまり大きくなく、周期が数十日程度までの系で顕著である。これらの系では、Be星から放出された物質は円盤内にたまり続け、孤立したBe星のまわりのガス円盤よりも密度の高い円盤を形成する。 2.離心率が大きく、また周期の長い系ほど、共鳴相互作用の効果は弱く、中性子星への降着率が高くなる。これはタイプI・アウトバースト(周期的なX線増光現象)を起こす系の観測的特徴をよく説明する。 3.楕円軌道を描く中性子星により、Be星ガス円盤中にはeccentricモードが励起される。励起のタイム・スケールは軌道離心率の大きな系ほど短い。 4.軌道傾斜角が大きくなるにつれて共鳴相互作用の効果は弱くなる。特に、45度よりも大きな傾斜角の系では、中性子星の質量捕獲率は1周期に2つのピークを持つようになる。 5.中性子星に捕獲された物質は降着円盤を形成する。中性子星への質量降着率はBe星からの質量輸送率よりもずっと小さい。円盤の半径は、長期的には時間と共に増大するが、短期的には近星点通過時に減少し、その後ゆっくりと回復する。
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