研究概要 |
研究代表者の泉浦は、国立天文台・岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡と高分散エシェル分光器HIDESを用いて、合計44の炭素星について4500〜5500Åの波長域で比波長分解能約10万の高分解能スペクトル観測を推進した。得られた大量のスペクトル画像データの解析を、謝金による研究補助を活用しながら進め、合計17天体で明瞭な星周層起源のC_2分子吸収線群の検出に成功した。他の6天体にも確実ではないがその存在の可能性が認められている。さらに炭素同位体^<13>Cを含む星周層起源の^<12>C^<13>C分子吸収線群を合計5天体で同定することに成功した。吸収線群の視線速度の平均を取ることにより星周ガス層の視線速度を0.1km s^<-1>以下という、かつてない高い精度で決定することができた。一方当初目標通り、検出されたC_2吸収線群について励起温度とコラム密度を算出し、それらが400-800Kと(2-9)x10^<14>cm^<-2>の範囲にあることを導き出した。これらの量から、吸収線を形成しているC_2ガス層は、星の半径の数十倍のところに位置すると推定された。これらの初期成果を2001年11月にオーストラリアのキャンベラで開かれた国際研究集会(IAUSymposium 209,Planetary Nebula)で報告した。一方、研究分担者の野口は、国立天文台・ハワイ観測所のすばる望遠鏡と高分散分光器HDSを用いて、比較的暗い3つの炭素星について星周層起源のC_2吸収線群を探査する高分解能スペクトル観測を進め、現在データの解析を進めている。
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