研究概要 |
この期間の研究成果を次の4つのカテゴリーに分けることができる。 1)前研究テーマからの継続の研究 2)格子上での非可換性を導入した格子フェルミオンの定式化 3)新しい超対称場の定式化 4)格子上の超対称性 1)我々の発見した一般化されたゲージ理論のヤング・ミルズ作用への一般化でゲージ場を0,1フォームに限った場合で群をSU(2|1)にとった場合に、標準模型が導出できることを示した。2次元量子重力の数値計算を行いフラクタル次元の中心電荷C依存性を計算し、我々の導いた解析計算と一致することを明らかにした。 2)格子上の差分がライプニッツ則を満たすように、非可換性を導入することができる。そこでこの差分を用いて格子上で微分形式の定義を行い、クリフォード積を格子上で定義しディラック・ケーラーフェルミオンの再定式化を明確にした。 3)トポロジカルな場の理論の模型を量子化してツイストすると超対称性が導かれるのは知られているが、このツイストがディラック・ケーラーフェルミオンの定式化と密接に関係することも明らかになってきた。その結果これ等の定式化の背後にツイストされた超対称空間の存在が予測され、2次元で実際N=2の超対称空間の定式化を発見した。この定式化は4次元のN=4のツイストされた超対称空間に自然に拡張することができ、N=2及びN=4のツイストされた超対称性を持つ作用を提案した。 4)超対称性を格子上で定式化することは、長年の格子ゲージ理論の懸案であったが、上記のツイストされた超対称場にマイルドな非可換性を導入することにより超対称性を格子上で定式化する事に成功した。その結果2次元でN=2の超対称性を持つBF理論、ベス・ズミノ理論の格子上の定式化が完成した。また2次元のN=2の超対称ヤング・ミルズ理論の格子上での定式化の完成の見通しも立った。
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