研究概要 |
次世代粒子加速器における,コヒーレントシンクロトロン放射や高エネルギーX線FEL中の電子の運動など,今後,その現象把握が必須となる相対論的電子と航跡場の自己無撞着な解析を実現すべく,時間領域境界積分方程式法を用いた数値解析コードの開発を行った.とりわけ,時間領域境界積分方程式法のスキームの深刻な課題である所要メモリ削減,および計算時間の短縮化に対し,同スキームにおいて遅延時間ごとに別々に行列が分離しているという特徴を生かして,計算機間の交信の少ない効率的な並列処理ができる並列計算機環境を構築すべく,開発を行った. 研究計画初年度の13年度では,まず,サーバーを含むパソコン5台のLAN結合により並列計算環境を構築した.そしてのうえで,これまでに開発してきた軸対称2次元航跡場解析コードをベースに,その並列計算スキーム化を行った.本年度の作業の多くは計算機環境整備,および,コードの並列化にともない,ハードウェア,コンパイラ特有の詳細な部分でのデバクが中心であったが,ここまでの作業で並列計算機環境においても,上記軸対称2次元コードに関してはシングルCPUでの結果と同じ結果を得ることができるところまで進捗した. 今後は,本年度のコードの並列化作業をベースに,(1)軸対称2次元コードでこれまでメモリ容量制限でできなかった複雑形状の解析,(2)コードの3次元化,(3)電子の運動との自己無撞着な解析を行っていく.
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