研究概要 |
東北大学サイクロトロン、ラジオアイソトープセンターのK=110MeVのサイクロトロンが順調に稼動し、本報告書に係る平成13年度計画の研究は所期の目的を大略達成することができた。 1、標的を装着し入射陽子ビームによって(P,n)反応を生起する汎用の散乱槽は早期に完成し、既設のビームスウインガーと組み合わせて-3度から110度まで、切れ目なく反応生成中性子を44メートルの飛行距離を取って飛行時間分析法(TOF)によるエネルギー分析が可能となった。 2、陽子エネルギーE_p=50.70,80,90MeVにおいて、^6Li(P,n)^6Be反応の実験を行い、システムの検証並びに、このエネルギー領域の中性子に対する液体シンチレーターの応答関数の測定を行って検出効率のエネルギー依存性と絶対値の導出を行うことができた。特に、^6Li(p,n)^6Be反応で起こる原子核における最も単純なガモフ、テラー型の1^+→0^+遷移(GT-遷移)で生成される中性子の角度分布を上記陽子エネルギーで測定し、核子核子(空孔)有効相互作用について重要な情報を得た。 3、もう一つの目的である^<42>Ca(p,n)^<42>Sc反応の研究に関し、陽子エネルギーE_p=50,70,80,90MeVにおいて実験を行うことができた。GT-遷移と、Fermi-型の1^+→0^+遷移を分離観測することに成功し、F-型遷移の相互作用の強さを代表する有効相互作用強度V_τとGT-型遷移の相互作用の強さを代表するV_<στ>との比V_τ/V_<στ>の入射陽子エネルギー依存性を実験的に明らかにした。
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