今年度の主な成果は以下の2点にまとめられる。 1.破砕片の粒子識別に関わる新たな手法の開発 平成13年度で目標としていたPPACの位置情報を積極的に取り入れたシリコン検出器の厚さ補正方法については当初の目標を達成し、破砕片の粒子識別能カを向上させることに成功した。一方で、以下の2で述べるビーム大強度化に対応するため、シリコン検出器に替わる新たな検出器として、時間分解能に優れたNaI検出器にも注目し、このテストを行っている。 2.ビーム強度の向上と不安定核ビームの粒子識別法の開発 平成13年度に^<48>Caビームを用いた実験を行う予定であったが、ビームの加速スキームが大きく変わり、従来のビーム強度に比べ約100倍のビーム強度が得られる見通しがついた。逆に、この加速方法の変更に伴ない、実験手法の一部変更を余儀なくされ、特に加速器のRF信号を用いた粒子の飛行時間測定が困難となった。そこで我々は、加速器のRFとは独立に飛行時間測定を行う方法をテストした。RF信号を用いた場合は不安定核分離装置の生成標的から最終焦点面までの約27mの飛行距離が稼げるが、RF信号を用いない場合は、第二焦点面と最終焦点面までの約6mの飛行距離で粒子識別を行わなければならない。すなわち、飛行時間に対する時間分解能が必要とされるが、テストを行った結果、質量数100程度までの原子核に対し、十分な分析能力があることがわかった。さらにこのテストでは新しい中性子過剰核の探索も同時に行われた。
|