平成13年度から14年度に渡り、我々の開発した不安定核ビーム破砕反応法を強化する取り組みを行い、主に以下の2点について成果を得た。 1.「不安定核ビーム開発と新同位元素の発見」 N〜20近傍の中性子過剰な領域から、未知のN=28領域へと研究対象を拡大するためには、一次ビームとして、^<48>Caが有効であり、このビームの大強度化が必要であった。理化学研究所でのビームの加速スキームが大きく変更され、従来のビーム強度に比べ約100倍のビーム強度が得られる見通しがつき、この強力な一次ビームを用いて不安定核ビームの開発を行った。この結果、新同位元素として^<34>Ne、^<37>Na、^<43>Siを発見し、^<33>Ne、^<36>Na、^<39>Mgは非束縛核であることが判った。また、^<43>Siの粒子束縛性からシリコン同位体でのN=28の「魔法数の破れ」を示した。この結果は学術雑誌に発表し、記者発表も行っている。 2.「励起準位の寿命測定法の開発」 不安定核ビーム破砕反応法の弱点を克服するために、励起準位の寿命を直接測定し、そこから遷移確率を調べ、スピン・パリティを決定する方法、ドップラーシフトアッテネーション法(DSAM)とリコイルシャドゥ法(RSM)である。本研究期間内では、開発に適した軽核^<12>Be、^<16>Cについて実験を行った。RSMによる結果から、^<16>Cの寿命は異常に長いことがわかった。これらの新しい試みは、引き続き科学研究費補助金・基盤研究(A)(15204017)でご支援を頂いている。
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