研究概要 |
強磁性体内の不純物が感じる強い内部磁場と原子核の相互作用を精度良く調べると、原子核の磁気モーメントの発生の由来の違いで原子核が感じる磁場の強さが異なる。これをBohr-Weisskopf効果という。この研究の目的は、Bohr-Weisskopf効果を正確に系統的に測定することにより、原子核の構造の磁気モーメントの発生機構を研究することにある。計画は平成13年度から2年計画である。 Sc(A=44,44m,46,47,48)の鉄中での低温核磁気共鳴の測定を行った。試料は東北大学のサイクロトロンからのαビームを用いて、反跳埋め込み法を用いて製作した。新潟大の^3He/^4He希釈冷凍機で10mK以下に冷却して核偏極させて、このアイソトープ全部の核磁気共鳴を得た。このScの同位元素のうちA=48以外の原子核の磁気モーメントはAtomic Beam法ですでに知られている。47Scの共鳴から鉄中の内部磁場を-13.17(5>T、48Scの磁気モーメントを3.79(1)μ_Nとそれぞれ決定した。またBohr-Weisskopf効果の値をA=44mとの比較により次の様に決定した;44ScΔ44mSc=-1.2(12)%,46ScΔ44mSc=1.3(7)%,47ScΔ44mSc=-1.3(7)%。また京都大学原子炉の質量分析器で91g, mYFeの試料を作り、NMR-ONの実験を行った。この結果それぞれの共鳴を得た。91Yの磁気モーメントはすでに知られているので、その値を用いて91YFeの内部塩場を-29.4(2)Tと決定した。91Yの共鳴周波数の外部磁場(B_0)依存性dv/dB_0=-2.35(7)MHz/T, dNと91mYの依存性dv/dB_0=-9.80(9)MHz/Tの比をとることによりBohr-Weisskopf効果の値を91YΔ91mYの値を-1(3)%と決定した。91Yのスピンは1/2-であり、スピンと軌道角運動量の向きが逆で大きなBohr-Wisskopfが期待される。藤田、有馬の理論計算によると4-5%になる。実験誤差を小さくする更なる実験が求められる。
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