研究概要 |
大きな異常次元によってクォーク・レプトンの質量階層性を導く超対称素粒子模型の研究を行った。この模型の特徴は、超共形理論の相互作用によって、squark/sleptonの質量を縮退させつつ、quark/leptonには階層的質量行列を導く事ができるところである。我々は、soft SUSY breaking parameterの繰り込み群による解析を詳細に行うことにより、この種のモデルにおいて一般的に導かれるsquark, sleptonの質量スペクトルが、FCNCやLFVの実験的制約を満たしているかどうかについて考察した。我々は先ず、一般の超共形ゲージ理論において非摂動的な繰り込み群を解析することにより、soft scalar massが満たすsum ruleを発見した。このことが上記の考察の出発点となった。その結果、Nelson-Strassler modelはsquarkに対しては十分良いが、sleptonは必ずしもlepton flavor violation(LFV)の実験的制限を満たすほど十分な縮退を与えないことを指摘した。また、超共形ゲージ理論との相互作用によって引き起こされ得る真空期待値によるμ-term生成の機構も考案した。 その後、更にこのモデルを改良の出発点にして、squark, sleptonの質量を完全に縮退させつつ、flavor問題を除くような機構(湯川階層性の転写機構)を提唱した。また、ある種の大統一模型においては、上記のslepton質量の問題が回避できることも指摘した。
|