研究概要 |
素粒子の4つの基本的な相互作用(電磁気力、弱い力、強い力及び重力)とすべての素粒子(クォーク、電子、ニュートリノ…)を統一的に記述する統一理論の最も有力な候補として超弦理論が研究されてきた。しかしながら、超弦理論を摂動論的に定式化すると、無数の真空を見出すことが出来、その各々に対応してモデルが構成できることになってしまい、本当の真空にもとづく唯一のモデルが発見できない。そのため最近は超弦理論の非摂動論的な定式化が必要不可欠と考えられ多数の研究が行われている。これまでの超弦理論が第一量子化の理論として定式化されており、超弦の生成・消滅を含む物理過程に対する物理量を作用関数からシステマティックに計算することはできない。このような欠点を除くには、超弦の第2量子化が必要である。 当研究代表者(二宮)はH.B.Nielsen氏と共同で超弦の第2量子論である超弦の場の理論の構成を研究してきた。この構成に関しては過去に既に数グループ(Kaku-Kikkawa, Hikko, Witten等)が各々モデルを提唱し一定の成果を得てきたが、一般共変性を失っている等の欠陥が知られており、未だ完成していない。当研究代表者とH.B.Nielsen氏は共同で、超弦の場の理論を構成するために、基本構成要素として超弦のright-movingモードとleft-movingモードを選び、これら2つのモードから超弦のFock空間を構成する。任意個の超弦をもつ状態はこれら2つの自由粒子のFock空間の直積であらわせる。よって我々の超弦の場の理論は自由場の理論となる。 共同研究者の川合は超弦理論の非摂動的定式化をゲージ理論によって実行する研究を行った。この目的のためにまず不安定なブレーンと基本的超弦は、あるゲージ理論の古典解としてあらわせることを示した。更に、不安定ブレーンはゲージ場に結合するスカラー場のドメインウォールとして、また基本的弦はバルクに閉じ込められたフラックスチューブとして表されることを見出した。
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