今年度の研究実績は次の通りである。 1.Horava-WittenがM-理論で考察したようなorbifold S(5E)161/Z_2の場合を考える。その場合、我々の世界および隠れたセクターは、2つの境界面のそれぞれに対応する。超対称性の隠れたセクターでの破れが我々の世界にどう伝わるかを研究するため、一番簡単な余次元が1次元の5次元時空を考える。5次元時空でのヤン・ミルズ場と物質場の結合した一般的な超重力理論と超共形テンソル計算則は、既に我々のグループの最近の仕事により得られていた。今年度は、2つの境界面(すなわち、我々の世界と隠れたセクター)上の種々な物質場やゲージ場と、バルクの超重力場やヤン・ミルズ場との結合を超共形対称性を満たすように決める一般的な方法を明らかにする仕事をした。すなわち、基本的には超重力でない場合にMirabelliとPeskinがやったように、バルクの超重力場やゲージ場や物質場が境界面上で誘起する4次元の超共形超多重項を同定した。これらの超多重項と4次元の純正超多重項とを用いて4次元の超共形不変作用公式を適用すればバルクの場と境界面上の場の任意の結合の作用が書ける。 2.上の仕事に加え、我々はBergshoeff-Kallosh-Van Proeyenの「特異時空上の超対称性」の理論を完全にoff-shell定式化する仕事をした。これにより、Randall-Sundrumのブレイン世界シナリオの場合に要求される境界面上のtensionの大きさとバルクの宇宙項の大きさの間の特殊な関係式が、supersymmetryの要請から自然に出てくるformulationを、完全にoff-shell化する事に成功した。またこれとは異なるBagger達のformulationでは、その関係式が超対称性から要求されずファインチューニングに止まることも明らかにした。
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