研究概要 |
本研究計画は,中性子過剰核においてもクラスター構造の存在が認識され,その構造が安定核とは異る新しいタイプのクラスター構造であることが明らかにされた現時点で,この新しいタイプのクラスター構造の研究の本格的推進を目指すものである。本年度は最終年度であり,以下の成果を得た。 (1)Be同位体の高励起状態まで含めた研究では,基底附近での中性子の分子軌道的構造に対する形で励起状態には中性子の原子軌道的構造の存在が示された。典型例の^<12>Beについて研究のまとめの論文が掲載された。 (2)N=20の魔法数の破れについての研究が更に推進された。pf軌道がsd軌道と準位交差する為に中性子の他粒子-多室孔の励起状態が低励起エネルギー領域に形成される。この側面についての研究をNcの同位体の場合についてまとめて論文を投稿した。 (3)^<44>Tiでは平均場構造とα-^<40>Caクラスター構造が共存し,通常変形状態と超変形状態が共存する。これらの多種多彩な構造が7つの回転帯を形成して,核子多体系の動力学の豊かさと奥深さを示す典型例となっている。AMDはこれら7つの回転帯の性質を見事に再現する。研究結果は論文として投稿された。pf殻領域での不安定核研究の基礎となる研究である。 (4)^<32>Sの超変形励起状態と^<16>O-^<16>O分子状態の相互関係の研究の成果が論文にまとめられ投稿された。 (5)中性子過剰の低密度核物質でのクラスター形成についての研究成果の論文が掲載された。 (6)^<12>Cの3αのα凝縮状態の研究成果の論文が掲載された。
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