研究概要 |
ダブルラムダハイパー核に特有な弱崩壊過程ΛΛ→nΛおよびΛΛ→pΣ^-,nΣ^0を中心に以下の研究をおこなった。 1.ハイペロン関与のΛΛ弱崩壊相互作用ポテンシャルを中間子交換モデルで導出した。ΛΛ→nΛ過程に対しては(1)2πが相関してσ(シグマメソン)となって交換する過程(2)1ω(オメガメソン)が交換する過程(3)2πが弱過程によりK^0に変換して交換する過程、の3つを考えファイマンダイヤグラムを相対論的に計算しポテンシャルを導いた。また、ΛΛ→pΣ^-,nΣ^0過程に対しては(1)1πが交換する過程(2)2πが相関してρ(ローメソン)となって交換する過程、の2つを考え弱崩壊相互作用ポテンシャルを導出した。 2._<ΛΛ>^6Heおよび_<ΛΛ>^<10>Be核の構造としてΛやΛΛの結合エネルギーが説明できる波動関数をクラスター模型で計算し、1.のポテンシャルを用いてハイペロン関与の非中間子的崩壊幅を計算した。理論での崩壊幅は_<ΛΛ>^6Heの場合で自由Λ粒子の崩壊幅の約5%で_<ΛΛ>^<10>Beの場合約3%である。ハイペロン関与の弱崩壊ではΛΛ→nΛ主要な過程であり計算での崩壊幅の値と出てくるΛが大きな運動量をもつことからこの崩壊過程は実験で測定可能であろう。 3.ダブルラムダハイパー核_<ΛΛ>^6Heにおける核子関与の弱崩壊過程ΛP→npおよびΛn→nnの崩壊幅を相関した2π及びω,K^0交換ポテンシャルで計算し_<Λ>^5Heの値のほぼ2倍となることを示した。 4.π中間子崩壊過程については共同研究者の元場教授と以前の計算の改良を検討している。
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