アクシオン星が衝突する中性子星の内部状態は、ごく中心部を除けば鉄などの原子核である。そこで、原子核の状態、特に陽子、中性子数が同じで、ともに2の倍数の原子核の励起状態に見られるアルファクラスターの凝縮状態を解析した。炭素、酸素では、核子がそれぞれ独立に振舞うのでなく、アルファー粒子を作る励起状態の存在することが指摘されてきた。炭素では、それが3つ、酸素では4つのアルファー粒子がお互い緩やかに束縛しあっている状態である。アルファー粒子はポーズ粒子であり、緩やかに東縛されているということは、近似的に、それぞれが独立に同じ状態を占めていると考えられ、アルファー粒子がポーズ凝縮を起こしている状態と思われる。そこで、ボーズ縮を起こしている系では、渦糸励起が知られている。この原子核状態にも、対応する渦糸状態があると考え、場の理論を用いて、その凝縮状態の上に存在する渦糸励起をもとめ、そのエネルギーを評価した。その結果、炭素、酸素などでは、凝縮状態の上、3MeV、または4MeVあたりに渦糸励起が存在することがわかった。これらは、有限、しかも少数のボーズ粒子の凝縮からの励起であるゆえ、液体ヘリウムなどに見られる渦糸とは異なるが、少数有限系でのそれに対応する状態である。それは、それぞれのアルファー粒子が、同じ角運動量(L=1)を占めて、同じ向きに回転してる状態にである。この状態はクラスターモデルでいう3つ、あるいは4つのクラスターが同じ平面内をそこを貫く中心軸の回りに回転している状態である。同様にマグネシウム、カルシウムなどさらに大きな核でのアルファー粒子の凝縮、その上の渦糸状態を調べた。
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