ガンマー線バーストと超高エネルギー宇宙線の発生機構として、宇宙暗黒物質の候補であるアクシオン星と中性子星との衝突を研究した。その結果、ガンマー線バーストのもつ10の52乗エルグという莫大なエネルギーが発生しうること、さらに、ガンマー線バーストの発生頻度が、その機構で、ほぼ説明できることを示した。また、超高エネルギー宇宙線に関しても、その10の21エレクトロンボルトというエネルギー、さらには、その発生頻度もこの発生機構で説明できることが分かった。その時仮定した中性子星の銀河内での数、また、アクシオンの多くが星となっていること等、いくつかの問題点があるが、今後の課題である。 この発生機構に関連して派生した問題として中性子星内部の構造がある。特に中心部での物質の構造として、核物質をより密にしたクォーク物質の性質の解明をおこなった。その結果、従来考えられてきたカラー超伝導相にクォーク物質はあるのではなく、中性子星内部ではクォーク物質はカラー強磁性相になっていることを明らかにした。そのカラー強磁性相は、この研究ではじめて明らかにされた非可換ゲージ理論のもつ側面である。かつて、Savvidy真空として知られていたグルーオンの自発磁化のある状態があった。ただ、その状態は不安定性であることが知られていた。その不安定性の増大は自発磁化の揺らぎをもたらし、その結果として、クォークの閉じ込めが実現するとの予想もあった。しかし、この研究では、不安定性の増大の結果、グルーオンの量子ホール状態が生まれ、自発磁化のある状態は安定化することを明らかにした。
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