研究概要 |
1.多重配位クラスター模型による構造計算 変形の効果を取り入れた多重配位クラスタ模型の枠組みで、ハートリー・フォック計算の数値計算コードを作成し、まずA=6体系に適用した。p+^4_YHe(^4_YH)+n(p)など必要とすべき配位空間の検討を行っている。さらにΛ粒子を複数個含む場合やコヒーレントにΛ-Σ結合が存在する場合に適用できるように開発を進める。 2.(K^-,π^【minus-plus】)や(γ,K^+),(e,e'K^+)反応による応答スペクトル (K^-,π^【minus-plus】)反応の生成スペクトルにおいて、コヒーレントΛ-Σ結合がどのような影響を与えるかを検討した。^4_ΛHeの束縛状態のように強くコヒーレント結合の存在が期待される系に対して、静止K^-法ではΣ経由で生成される割合が全体の約20%になることがわかった。これはΣ生成の振幅がΛ生成のものよりも大きく、Σ振幅とΛ振幅の間で干渉効果が顕著になることが原因である。また(γ,K^+),(e,e'K^+)反応については素過程反応を検討した。 3.K^-中間子を含む原子核と相互作用の検討 Λ(1405)やK^-を含む原子核の特徴を調べる手がかりとしてはK^-原子のレベルシフトと幅があげらえる。そこでK^-と原子核間の相互作用によって、K^-原子束縛状態のS行列の特異点がどのように振る舞うかを複素運動量空間上で調べた。これはΛ(1405)やK^-を含む原子核の構造を検討する上で重要な情報となる。
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