研究分担者 |
大垣 英明 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (10335226)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 講師 (60319829)
山県 民穂 甲南大学, 理工学部, 教授 (50068144)
豊川 弘之 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員
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研究概要 |
天然に存在する最稀少同位元素である^<180>Ta核異性体の起源として,II型超新星爆発時の酸素/ネオン層におけるs-process核^<181>Taの光中性子反応が挙げられる。その生成メカニズムの検証に必要な核データである光中性子反応断面積を,産業技術総合研究所において逆コンプトンガンマ線ビームを用いて測定した。目的の断面積は,光中性子全断面積σ(total)と,半減期8.1時間の^<180>Ta基底状態への部分断面積σ(gs)の差として決定された。全断面積は光中性子の直接計数によって,部分断面積は放射化法によって求められた。以下に,ガンマ線エネルギー11.7MeVと99MeVで得られた結果をまとめる。 1 ガンマ線エネルギー11.7MeVでの予備的な結果 σ(total)=313±2mb,σ(gs)=243±2mb,^<180>Ta生成中性子断面積=71±3mb 2 ガンマ線エネルギー9.9MeVでの予備的な結果 σ(total)=100±2mb,σ(gs)=95±1mb,^<180>Ta生成光中性子断面積=5±2mb 現在,結果を確定する作業を進めている。同時に,ブリュッセル自由大学アヌー教授のグループと共同で,超新星爆発モデルを用いた^<180>Ta生成計算の準備を行っている。 ^<181>Ta核光中性子全断面積の中性子しきい値付近の振る舞いを,実験的に詳細に調べた。過去に,米ローレンス・リバモア研究所と仏サクレー研究所で取られたデータとは,異なる振る舞いが発見された。データは,放出中性子の軌道角運動量の主要成分が,1hであることを示している。
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