研究分担者 |
大垣 英明 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (10335226)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 助教授 (60319829)
山県 民穂 甲南大学, 理工学部, 教授 (50068144)
豊川 弘之 産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員
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研究概要 |
pプロセス核の1つで,天然に存在する唯一の核異性体であり且つ最稀少元素である^<180>Taの起源の研究を行なった。生成過程としては,超新星爆発の衝撃波で温められたネオン・酸素層で起こる^<181>Taの光中性子反応が有力である。産総研のレーザー逆コンプトンγ線を用いて,^<181>Taの光核反応断面積を測定した。取得されたデータは中性子しきい値付近に余分のE1励起強度の存在を示し,その振る舞いはQRPA微視的モデルによって再現できることを示した。取得したデータによって超新星pプロセスモデル計算の精度が向上し,^<180>Taの重力崩壊型超新星爆発起源を確かめることができた。またニュートリノプロセスの重要性を指摘した。研究成果をPhysical Review C誌に発表した。将来,^<180>Taの光核反応による消滅過程に関する核データ取得を目指す。 ビッグバン重水素合成の研究を行なった。産総研において重水素の光核反応断面積を,データが著しく不足している低エネルギー領域(しきい値エネルギー2.2MeVから5MeV)で測定した。この低エネルギー領域における重水素の光核分解反応は,重水を使ったサドベリー(カナダ)ニュートリノ観測の主要なバックグランド源であるため,精度の良い核データの取得が望まれている。光核反応データに基づいて,ビッグバン元素合成で重要な温度領域(0.5-0.05)×10^9Kとその付近で放射性捕獲反応断面積を提供した。データをもとに最新の宇宙物理核反応率を導出し,学術雑誌での出版を予定している。
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