研究概要 |
この研究の最大の成果は、ヘリウム核において100MeV以上の結合エネルギーで深く束縛されたイオンの存在、初めて、理論的に示したことである。それらはヘリウム3とケイオンの束縛状態(結合エネルギー108MeV、幅20MeV)、ヘリウム4とケイオンの束縛状態(結合エネルギー86MeV、幅34MeV)及びベリリウム8とケイオンの束縛状態(結合エネルギー113MeV、幅38MeV)である。これらの系で、ケイオンが極端な収縮をもたらし、高密度でしかも超低温の状態が生成されることを示した。 ケイオンの束縛状態は以下の例のように則定できる。最も有望なものは、ヘリウム3とケイオンの束縛状態である。負電荷ケイオンをヘリウム4の原子軌道に止めて核に吸収させると、その深い束縛状態が生成され、余った中性子が倣出される。そのときの生成分岐比は約2%である。これは実験的に検出可能であり、岩崎雅彦(東工大)氏達の(K-,n)実験が提案され、KEKの平成14年度の計画として採択された。
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