1.ウプシロン(4S)の2レプトン崩壊事象を用いた電荷非対称性の解析から純粋にB中間子混合現象で起きるCP非対称性パラメターの大きさの上限を決めた。得られた結果は(-0.3+-2.0+-1.7)x10**(-3)で、ゼロであることと一致する(誤差は統計誤差と観測誤差)。この結果は現在のところ、世界で最も厳しい制限を与える。標準模型を超える新しい物理がB中間子混合現象に介在した場合、この量が数パーセントと大きくなることが予想されるが、今のところそのようなことは起きていない。 2.中性B中間子がD*中間子とパイ中間子に崩壊する際にB中間子の混合現象によって引き起こされると予想されているCP対象性の破れパラメターsin(2phi1+phi3)の測定を行った。結果は統計誤差約6パーセントの範囲でゼロと一致していて、まだ統計的に有意な結果にはいたっていない。しかし、解析の副産物として測定されたB中間子の寿命と混合パラメターが正しく測られていることから解析手法が確立されたと考えられる。今後データ量が増えるにつれて有意な結果にいたる道筋を作った。 3.2.で行われた解析ではD*中間子を完全再構築する手法がとられたが、部分再構築する手法も試みられた。結果はsin(2phi1+phi3)が統計誤差約4パーセントの範囲でゼロとなり、2.の結果と一致した。この方法についても解析手法が確立できた。
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