研究課題/領域番号 |
13640307
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2004) 高エネルギー加速器研究機構 (2001-2003) |
研究代表者 |
阿部 和雄 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80167931)
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研究分担者 |
堺井 義秀 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90170571)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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キーワード | CP対称性の破れ / B中間子 / 粒子の混合 / CPT対称性 |
研究概要 |
1.中性B中間子が持つ基本パラメターのひとつである粒子反粒子混合パラメターをいくつかの方法で精密測定した。セミレプトニック崩壊事象を用いた方法からは0.503+-0.008+-0.010という結果を得た。単位はピコ秒分の一で誤差はそれぞれ統計誤差と系統誤差である。ハドロニック崩壊事象を用いた方法からは0.528+-0.017+-0.011の結果を得た。このほかいくつかの方法による測定結果はすべてお互いによく合っている。現在世界中で使われているB中間子混合パラメター値の決定に大きく寄与した。 2.混合現象に現れる可能性があるCPT対称性の破れをセミレプトニック崩壊事象を用いて探索した結果、このような異常現象はあったとしても10%以下であることを確立させた。まだ不十分な測定感度だが初めてB中間子混合現象でのCPTの破れについての上限を与えた意義は大きい。 3.B中間子混合現象でのCP対称性の破れをセミレプトニック崩壊事象を用いて探索し、上限を決めた。得られた結果はエプシロンBと呼ばれるパラメターで-0.0003+-0.0020+-0.0017で、ゼロであることと一致する(誤差は統計誤差と系統誤差)。この結果は現在のところ、世界で最も厳しい制限を与える。標準模型ではこの量は0.001より小さくなるはずで測定結果と一致している。標準模型を超える新しい物理がB中間子混合現象に介在した場合、この量が数パーセントと大きくなることが予想されるが、今のところそのようなことは起きていない。 4.中性B中間子がD*中間子とパイ中間子に崩壊する際にB中間子の混合現象によって引き起こされると予想されているCP対称性の破れパラメターsin(2phi1+phi3)の測定を行った。結果は統計誤差約6パーセントの範囲でゼロと一致していて、まだ統計的に有意な結果にはいたっていない。しかし、解析の副産物として測定されたB中間子の寿命と混合パラメターが正しく測られていることから解析手法が確立されたと考えらる。今後データ量が増えるにつれて有意な結果にいたる道筋を作った。
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