1.3素子アレイAPD検出器2組を組み込んだ小型真空槽製作とその評価 APD素子を試料に近づけて内部転換電子線を直接測定するための装置を準備した。APD素子(Φ3mm)3素子をアレイ化(1列に配置)した検出器2個(計6チャンネル)を電子線検出効率(立体角)を高めるために装着し、かつ検出器をより試料に接近させられる小型真空槽を製作した。装置の評価(検出効率、エネルギー分解能、時間分光特性等)を低エネルギー電子線への応答も調べるために放射光研究施設BL-14Aにて8.4keVのX線を用いて行った。その結果新しく用意したAPDアレイ素子のエネルギー分解能が有感部面内で信号増幅度がX線入射位置によって異なるために大幅に悪化しているという問題が判明した。 2.核共鳴およびNEET内部転換電子線検出実験の実施 1.で製作した装置を使って^<189>Os-NEET観測のための第1段階の実験を2002年1月に実施する予定であったが、APD素子の欠陥のために新しい装置での実験は取りやめにした。そのかわり従来使用してきた1チャンネルAPD素子によるNEET観測実験をSPring-8のビームラインBL09XUにおいて2002年1月に行った(課題番号:2001B0448-ND-np)。^<189>OsよりもNEET確率が高いと予想される^<193>IrのNEET観測実験を行ったところ100秒あたり4-5カウントと微弱ながらK殻電離に伴う核励起(内部転換電子線による信号)を検出することに成功した。その実験結果は放射光研究施設での入射ビーム強度を評価するための実験と合わせ現在解析中である。NEET確率を求めたのち、Phys. Rev. Lett.に投稿する予定である。
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