本研究の目的は、SiO2/Si(001)超格子構造の第一原理計算を用いて、ヘテロエピタキシャルSiO2/Si(001)界面の最適原子構造と電子状態の第一原理計算を行ない、原子レベルでのトンネル障壁形成機構を解明することである。 界面原子構造として、β-石英型構造と圧縮されたクリストバライト型構造とトリディマイト構造の場合の計算を行なう。エネルギー分散関係とバンド端ブロッホ関数確率密度の界面平行方向、垂直方向の異方性を用いて、Si層とSiO2層に起因したバンドの同定を行ない、トンネル障壁の高さを評価する。Si層の価電子帯頂と伝導帯底のブロッホ関数確率密度のSiO2層内への侵入長の評価も行なう。現在、SiとSiO2バルク構造を実現するSiとO原子の擬ポテンシャルの計算を終了し、超格子構造での計算に取り掛かっている。 Siと他結晶との界面原子構造と電荷移動についての物理を明らかにするため、Si(100)表面の再構成原子構造と相転移、A_u/Si(111)の原子配置と電荷移動、G_e/Si(113)の界面原子配置について調べた。界面でのダングリングボンド終端と電荷移動の重要性を指摘し、各々論文にまとめた。
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