本研究は高い熱伝導物質の探索を目指したフォノン間の相互作用の第一原理計算を可能にすることを目標としている。 研究の初年度として、従来より研究室で開発されていた第一原理電子状態計算プログラム「OSAKA2000」を摂動計算までに拡張することにあった。同時にこの計算プログラムパッケージを一般に公開し、社会に研究成果の還元という活動も行っている。このことは、プログラムのデバクや保守管理に多大の時間を割くことも意味し、初年度はこうしたルーチンワークに大幅の時間が取られてしまった。次年度以降は学生も増えるので、そうしたルーチンワークはもう少し分担できる見込みである。摂動計算によるフォノン間の相互作用の第一原理計算はしたがって次年度に早急に確立する必要がある。一方で、フォノンの相互作用の結果フォノンの分布関数のずれはモデル計算で確立されつつある。この中で特にウムクラップ過程の取り扱いが従来より問題(数値解析で不安定性をもたらす)となっていたが、それを解決する糸口を見つけた。
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