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2003 年度 実績報告書

フラストレートした構造を持つ磁性体の理論

研究課題

研究課題/領域番号 13640350
研究機関京都大学

研究代表者

常次 宏一  京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80197748)

キーワード強相関電子系 / フラストレーション / 量子反強磁性 / 軌道秩序 / スピネル / パイクロア格子 / カゴメ格子
研究概要

バナジウムスピネルAV_2O_4 (A=Zn,Mg,Ca)における2つの相転移、40K付近の磁気転移と50K付近の構造転移のメカニズムを考察した。磁気的イオンであるバナジウムイオンの作るパイクロア格子は強い幾何学的フラストレーションを持ち、磁気的相互作用のみで低温の磁気秩序を説明することは不可能である。そこで、バナジウムイオンの軌道自由度を取り入れ、低温におけるスピン軌道有効モデルを構築し、それを用いることによって2つの相転移を説明することを試みた。その結果。50Kの構造転移においては、格子歪みに誘起された軌道秩序が出現することを発見した。この軌道秩序がスピンのフラストレーション効果を部分的に解消し、その結果、更に低温で磁気秩序が可能となることが判った。理論解析が予言する安定な磁気構造は中性子実験によって決定されたものと一致している。更に詳細な温度変化をモンテ・カルロシミュレーションによって計算し、実験結果と半定量的に一致することを示した。
フラストレーションを持つ遍歴電子系の代表として、カゴメ格子上の単一バンドハバード模型を考え、強相関効果をFLEX近似によって研究した。その結果、フラストレーション効果が大きい時には、磁気的不安定性が大幅に抑制され、金属相が安定化されることが判った。更に準粒子の性質を1電子グリーン関数のスペクトル関数から求め、フラストレーションによって準粒子のコヒーレンスが波数空間で等方的になるように回復することを見出した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] H.Tsunetsugu, Y.Motome: "Magnetic Transition and Orbital Degrees of Freedom in Vanadium Spinels"Physical Review B. 68・6. 060405 1-060405 4 (2003)

  • [文献書誌] Y.Imai, N.Kawakami, H.Tsunetsugu: "Low-energy excitations of the Hubbard model on the Kagome lattice"Physical Review B. 68・19. 195103 1-195103 10 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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