• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2001 年度 実績報告書

厳密な基底状態をもつ二次元直交ダイマー化合物の極限条件下での合成と物性

研究課題

研究課題/領域番号 13640352
研究機関東京大学

研究代表者

陰山 洋  東京大学, 物性研究所, 助手 (40302640)

キーワードスピンギャップ / 磁化プラトー / 量子スピン / 銅酸化物 / 量子相転移 / 直交ダイマー / 厳密な基底状態 / ジャストリーサザーランド模型
研究概要

研究代表者らはシャストリーサザーランド模型とトポロジカルに等価な二次元直交ダイマー物質SrCu2(B03)2について,高圧条件,高酸素圧など合成条件を工夫することにより相互作用の値を変化させ理論で予想されているダイマー相近傍の色々な相を観測することを試みた・その結果SrサイトをBaとCaにそれぞれ30%ずつ置換することに成功した.しかし得られた物質について帯磁率や強磁場磁化曲線に大きな変化がみられなかった.一方,SrCu2(BO3)2では395Kで構造相転移があるが,この転移温度がCaについては減少することが,Baでは増加することが明らかとなった.さらなる置換については合成条件を変えながら現在も継続中である.このような置換による方法はどうしてもランダムネスによる影響が避けられず相互作用などの正確な見積もりは難しい.そこで高圧セルを用いてSrCu2(BO3)2の帯磁率の10kbarまでの圧力効果を調べたところ,面間,相互作用の値が大きくなることに対応してギャップが小さくなることが明らかとなった.外挿すると30kbarが臨界圧力であることがわかった.理論の予想によると面間相互作用を大きくすると反強磁性相が誘起されることが指摘されている.この実験をうけ現在共同研究者とこの圧力範囲での高圧NMR実験を現在計画中である.またSrCu2(BO3)2と同じ直交ダイマー格子を有する物質の探索を行ったところ,Nd2BaZnO5を発見した.物性測定によって2.3Kで反強磁性転移することが明らかとなった.NdはJ=9/2と古典スピン系に近いこと,また異方性が大きいことにより,ギャップ相よりも反強磁性相が安定化されていると考えている.そのほかKIrO3は三次元版の直交ダイマー系のモヂル物質になることを明らかにし現在合成,物性測定を進行している.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] H.Kageyama, 他: "Crossbreedling between Experiment and Theory on Orthogonal Dimer Spin System"Suppl. Prog. Theor. Phys.. (in press). (2002)

  • [文献書誌] H.Kageyama, 他: "Spin Frustration in Two-Dimensional Compounds : SrCu2(BO3)2, γ-Cu2(OH)3Cl, Cu2(OH)3Br"Kyushu University Press. (in press). (2002)

  • [文献書誌] T.nakajima, 他: "Successive Phase Transitions in a Metal-Ordered Menganite Perovskite YBaNn2O6"J. Phys. Chem. Solid. (in press). (2002)

  • [文献書誌] O.Cepas, 他: "Dzyaloshinski-Moriya Interaction in the 2d Spin Gap System SrCu2(BO3)2"Phys. Rev. Lett.. 87. 167205-1-167205-4 (2001)

  • [文献書誌] A.N.Vasilev, 他: "Thermal Conductivity and Specific Heat of SrCu2(BO3)2 : A Quasi-Two-Dimensional Metal Oxide Compound with a Spin Gap"J. Exp. and Theor. Phys. Lett.. 73. 633-636 (2001)

  • [文献書誌] M.Hormann, 他: "Strong Damping of phononic Heat Current by Magnetic Excitations in SrCu2(BO3)2"Phys. Rev. Lett.. 87. 047202-1-047202-2 (2001)

URL: 

公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi