研究課題/領域番号 |
13640353
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 祐司 東京大学, 物性研究所, 助教授 (50199816)
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研究分担者 |
井澤 公一 東京大学, 物性研究所, 助手 (90302637)
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キーワード | 高温超伝導 / ジョセフソン効果 / 微細加工 / フラックスフロー / 量子領域 / ジョセフソンボルテックス / マイクロ波 / クーロンブロッケイド |
研究概要 |
高温超伝導体は2次元超伝導層と絶縁帯層が交互に一次元的に積み重なった固有ジョセフソン接合系と見なすことができる。この系の最もユニークな点は超伝導層の厚みが2-3オングストロームと極めて薄く超伝導層のc軸方向のデバイ遮蔽長と同程度となることである。このために各超伝導層での電荷の帯電効果が顕著に現れることが期待出来る。この様な理由のためその電磁レスポンス特に高周波マイクロ波応答は従来のジョセフソン接合系とは大きく異なることが最近の研究で明らかになりつつある。本研究では高温超伝導体のサブミクロン幅の微小固有ジョセフソン接合系を作製してこの系における帯電効果をさらに増幅させることを目的とした。このような微小接合では2次元面の面積が小さい効果によって超伝導クーパー対の遮蔽効果が完全に起こらなくなりクーロンブロッケイドの効果が現れる。本研究ではまずBi2212を微細加工した10μm程度の幅の試料でのジョセフソン磁束のダイナミクスの研究を行った。収束イオンビーム微細加工装置を用いて作製した微小ジョセフソン素子に端子をつけマイクロ波を照射しながら電流-電圧特性を測定して電磁レスポンスの研究を行った。その結果フラックスフロー状態でのマイクロ波応答にステップを観測でき電流-電圧特性に平坦な部分が現れた。これはいわゆるシャピロステップのフラックスフロー状態でのはじめての観測であり、これによりコヒーレントなフラックスフローが起こっていることが明らかになった。このことはジョセフソン素子においてジョセフソンボルテックスの高速駆動による電磁波発信の可能性を開くものであり応用上も重要であると考える。また微細加工技術を確立しさらに小さな量子領域でのジョセフソン接合を作製することを目指した。しかしながら当初目指した量子領域の試料を作るには至っておらず残念ながら今後の課題となった。
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